映画のマトリックスって見たことありますか。みんなシステムの中に生きていながら、ほとんどの人はそのことに気がつかない。仕方のないことですが、人間の現実社会もそういうところがあるんじゃないでしょうか。
お坊さんの仕事は、色んな人と関わる縁の中で、人を自由にする気づきのきっかけを様々なかたちで提供していくことだと思っています。
で、NETFLIXにあったんで久しぶりにマトリックス見てみたら、なんだよこれも「悟り」の物語じゃないですか。
主人公のネオ(キアヌ・リーブス)は、コンピュータに騙されてマトリックスという現実じゃない仮想空間に生きていたんだけど、ある日目覚めるわけです。
そんでアレコレやってるうちにだんだん覚醒していって、「今まで本当だと信じていたことが、すべて幻にすぎない」ということを「悟る」。
「アレもコレもウソかーい!」ってパッカーンしちゃったネオは、銃弾はよけるわ、空飛ぶわ、いや完全に悟った後は、銃弾もよけずに立ってるだけで止めちゃったり、もう無敵。無限の力を得るわけです。
その悟りの過程で、モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)が言います。
「Don’t think you are. You know you are.」
どういう翻訳だったか忘れちゃったけど、カンフーのトレーニングをしているときに「アレコレ考えるな。自分を知れ」と。
まさに「悟り」ですね。
がんばって成長するのでもない、トレーニングして強くなるのでもない、自分はすでに強いと「知る」だけだよとモーフィアスは言い、それを信じたネオは本当に強くなる。
これ、数ヶ月前にボクに起こったことと同じです。
「スゲー人になりたいー!」って四十年間がんばってきたボクが、「あ、ボクすでにスゲーわ」って「気づいた」だけ。そしたらぜんぶ勝手にうまくいくようになった。
ネオはお釈迦さまになるんです。オレ無限だったわー!って気づいただけで。
だからマトリックスって、そういうセリフばっかり。
トリニティが「ネオは何やってるの?」と言うと、モーフィアスが答える。
「自分を信じはじめたんだ」
自分を心から信じられないと、自分が無限だって悟れません。
モーフィアス「君は、君の心の囚人だ」
幸せも不幸せも、ぜんぶ自分の心が決めることですからね。
スプーン曲げをしている少年がネオに言います。
「曲げようと思っても曲がらないよ」
「スプーンは「ない」んだ。曲がるのはスプーンじゃなくて、自分自身だよ」
事実は変えようがない。変えられるのは自分の考え方だけです。
それにしてもカンフーパンダといいマトリックスといい、メジャー作品の中にも悟ってる表現がたくさんあるもんですねえ。
まあ甲本ヒロトの詩なんて、だいたいパッカーンしてますけどね。
最近はそういう作品を見つけるのも楽しみです。
もし他に知っていたら教えてくださいねー(コメントでもTwitterでも)。