コラム/エッセイ

RICOH GRと諦めとクロスプロセス。

バージョン 2

RICOH GRの「クロスプロセス」というエフェクトばっかり使ってる。

色素が少し抜けたような、古めかしい独特の色合いで、日常の些細な風景がアートっぽくなる。GRは「Get Real」と呼ばれるだけあって、エフェクトを多用するのは邪道なのかもしれないが、そんなことは知らん。ぼくは「クロスプロセス」か「白黒」しかほとんど使わない。

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GRの良さを訊かれたら、携帯性と美しい画とエフェクトと潔さということになる。

iPhone7よりコンパクトで、文字通りポケットに入れて持ち運べる携帯性でありながら、そのへんの一眼レフを凌駕する画質と、単焦点ならではの強烈なボケ。それだけでも抽んでている上に、用意されているエフェクトが単なる機能稼ぎのオプションではなく、実用として使いつづけられるだけのクオリティなのには唸らされる。

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「白黒」よりも明暗の対比が強い「ハイコントラスト白黒」を使えば、スナップ写真の大家・森山大道が撮るようなアーティスティックな写真だって撮れるかもしれない。GRのエフェクトを楽しむコツは、「クロスプロセス」「白黒」「ハイコントラスト白黒」など、それぞれ好みのエフェクトに合う被写体を常に考えて選ぶことだろう。

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ぼくは基本的には何でも「クロスプロセス」を多用し、影や光が美しい場面は「白黒」や「ハイコントラスト白黒」を使う。料理の写真は「鮮やか」という色味が明るく強くなるエフェクトを用いるのが常套のようだが、色の抜けた「クロスプロセス」のほうがおいしそうに見えたりするから不思議だ。

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そしてGRの最大の特徴であり美しい点なのが、ズームできない単焦点レンズであるということと、そのレンズを交換することができないという「潔さ」だ。

GRの28mmという画角は、人間の視界にもっとも近いと言われている。スマホカメラやそのへんのデジカメよりずっと広く切りとれる、明るい広角レンズ。見た目そのまんまに撮れる=Get Real、ということだ。

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単焦点レンズは “walking zoom”と言われるように、自分が歩いて動いて画角を決めるしかない。なので、波間に浮かぶ海鳥の姿や校庭を疾走する子どもの表情をズームで切りとることはできない。

けれどプロのカメラマンでもないぼくは、過去に一眼レフの望遠レンズで撮影した数々の写真を眺めては、こんなもん撮って何がしたかったんだ、と溜息をつくのである。写真を撮る目的が、人生の一瞬を目に見える形で残しておくというものなのだとしたら、自分の足で近寄ることができる範囲こそが、自分の目で見た「思い出」であり、ズームを多用してそのときの気分でフォーカスを決めた写真よりも、目で見たそのままを残した方が、よほど意味があるだろう。

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そして実際にGRを使いつづけていると、そもそもズームなんて必要なかったのだと強く実感する。ズームしなければ撮影できない被写体は、潔く諦める。そんなもん、いらない、撮らない。そうやって、画角によって構図の選択が限定されると、じつは気持ちよく写真が撮れるのだ。

ひらたく言えば、プロやよほどのカメラ好きでない限り、ズームなんてないほうがいいのだ。なまじズームなんかがあるから、寄ったり引いたりしたあげくに中途半端な構図になって、何がしたいのかわからない一葉が残ってしまう。

うだうだとあれこれ書いたが、写真なんて好きなように撮ればいい。ぼくだって邪道なエフェクトを多用しまくって独りでほくそ笑んでいるのだから。

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