コラム/エッセイ

まどろんだ午後のロードショーで。

話題の『カメラを止めるな!』って映画を観たんだけどね。

予想してたとおりの出来というか、ひっくり返るほどおったまげるほどではなく、でもそれなりにおもしろくて、楽しませてもらったんだけど、ぶすぶすとやや不完全燃焼で、まあこんなもんだろう、っていうふわふわしたのが率直な感想。ワケわかんねえな笑。

つまりやっぱり、もうここまで話題になっちゃって、単館上映だったインディーズに毛が生えたくらいの作品が109シネマズ湘南で上映されてけっこうなお客さんが入ってる時点で、本作の最大のキモであるところの〈仕掛け〉の存在が際立っちゃってるのでね、どうしてもそういう目で観ちゃうもの。

いつも言うことだけれども、表現ってのはもう、観る側の姿勢がスンゴく大事だからさ、それこそ体調とか精神状態とかで受け取り方はまったく変わってくるし、ハードルや期待度によってもぜーんぜん違うでしょう。

僕の考える最高の映画視聴環境っていうのがあって、それは、なーんもやることのない昼さがり、前の晩に気のあう友人や家族とゆったり楽しくたっぷり飲んで遅くに起きてまだ頭もかったるいだらけた休日に、ソファに横になりながらテレビで「午後のロードショー」を観るともなく眺めるっていうの。

これはもう史上最低にハードルが低いですからね。期待値がほぼない上に、オイラ今日という日はもう徹底的にダラダラしちゃうぞっていう諦念がもたらす安らかな心とアルコールによるまどろみでもって、めっちゃニュートラルな状態で観られますから。

そういうときにこそ、傑作とか名作とか話題作とかじゃなくて、〈他人の評価は知らねえけど俺は好きなんだこれ〉っていう映画に出会える確率が高い。

若い頃、今より自堕落な生活をしていた頃は、よく二日酔いのぼやけた頭でそういう映画を眺めてた。『モリー先生との火曜日』とか『恋はデジャ・ブ』とか、アメリカ人が撮ったヒドいヤクザ映画とか、他にもいろいろあるけれど、決して人にススメたりはしないけど、きっと死ぬまで忘れないんだろうなっていう映画。そういうのに出会う喜びは、クリストファー・ノーランの壮大なエンタメを観るのとはまた違うところで、ひとしおなんである。

『カメラを止めるな!』は完全に情報をシャットアウトして観たんだけどね、それでもダメだった。よく考えたらタイトルが『カメラを止めるな!』で、キャッチコピーが「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる」ですからね、そりゃカメラを意識しちゃうし、「終わったと思っても何かあるんだなきっと!」ってなるでしょう。宣伝的にしょうがないんだろうけど。

僕は「まだ何かあるんだろう!」と疑って、上映後に劇場内が明るくなっても席にしがみついてましたけどね、もうなんもなかった笑。

盗作だって騒がれてるみたいだけど、たしかにセリフとか設定をけっこうそのまんま使っちゃったところはアレだけど、いちばん大事な〈仕掛け〉の部分に関しては、大騒ぎするほど斬新ってわけでもなくて、演劇なんかでは想定できる範囲だよね。あの映画とあの小説とあのお芝居をミックスしたんだなって感じで。

きっと創作する人たちはそんなに驚いてなくて、でも創作する人たちにとって原作か原案かは大事なわけで。

タイトルは『ONE CUT OF THE DEAD』のほうがクールじゃない?それだとこんなに話題にならなかったかもだけど。

まどろんだ午後のロードショーでひっそり観たら、一生忘れられない作品になったかもしれないねえ。ポンッ!

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