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うおおおおおと声が漏れました。けもなれ、っていうの?『獣になれない私たち』っていうドラマの第一話を観て、ちょうどそのとき二日酔いでえびしおラーメン大盛りを食べた後の気怠い午後だったというのもあるんだけど、がんばり病のガッキーの息苦しい暮らしに俺の胃もきりきりきりきり痛んで、やばいな嘔吐しちゃうかないったん観るのやめようかなと思うくらい感情移入しちゃってたら、電車に飛びこみそうになるシーンが出てきてあれホントああいうことですよ人が死にそうになるってのは。よし、死のう、なんて確固たる決意じゃないんですね。疲れて疲れて、頭のてっぺんから足の先っぽまでぜーんぶ疲れちゃってるところに、自分でじゃなくて、死のほうから腕を引っぱられるみたいな。自然に、すっと、ふらふらと、たいした力量もなく。

最後のほう、いきつけのビアバーで笑顔をなくしたガッキーが黙々とビールを飲むシーンがよかったですね。あれいわゆるひとつのパンクですね。日常のいろんなことがキャパシティをオーバーしちゃって、立ち止まった瞬間。動けなくなっちゃった。俺もうちのママちゃんも通った強制終了のうつくしい時間です。

そんでいつものように飄々とした松田龍平がトドメのひと言「馬鹿になれたら楽なんだけどね」。ぐっときますねここ。くっそと思いましたね。ぐいぐい頭を押さえつけるように息苦しい展開を延々と続けてきてクライマックスでどーんと解放する物語のカタルシスがお見事でした。おじさん泣きそうになりました。馬鹿になれたら楽なんだけどね。しんどいことがあったら口に出してみましょう。ばかになれたららくなんだけどね。馬鹿になろうよ。そう簡単になれないよね。でもねっていう。俺がこの脚本書きたかったわと思ったよね。高校生の頃グリーン・デイが出てきた頃そうそうこれこれ俺こういうバンドやりたかったんだよって思ったの思い出しましたよ。

あとちょうど俺個人的に今毎日「ロジックと直感」について考えていたところなので、そういう話が出てきてうひゃあって思いました。俺はロジックに支配されがちだから直感と感情で生きたいなあなんてさ。

責任感の強いがんばり病のガッキーと、無責任人まかせおっぺけぺーのその他大勢との対比がここ俺の好きなジャンル、というか俺も通ってきた道なんでしょうか、ぐいぐい引きこまれます。またガッキーっていうのがいいね。もう健やかさの塊みたいな健全と書いてあらがきゆいと読みたくなるような眩しい太陽のような彼女の輝きが息苦しいこころとの対比をくっきりと際立たせてます。とくに好きな女優さんじゃなかったけどもう完全にファンです愛してます。あのパワハラ社長の感じとか菊地凛子ちゃんもいいですね。黒木華ちゃん大好きなんだけどイラッとする役でそれもいいですね。田中美佐子さんが送るチラッていうスタンプもイラッとして。胸くそ悪かったり胃が痛かったりとかろやかな感じがバランスしてて、そういうのって万人受けしない、つまり視聴率は稼がないかもしれないけど、いいドラマあるじゃないですか。