嵐山を後にして、待ち客がプラットフォームに入りきれないほどの大混雑のなか、ふたたび山陰本線に乗って、どうにか京都駅に到着。
くったくたなので、今日は、駅近くのホテルにしておいて本当によかった!
ホテルには大浴場があるので、とりあえず熱い湯に身体を伸ばして、ビールだ!
と、コンビニで缶ビールとからあげクンを買ってチェックイン。
残念ながら、東本願寺を覗く町側の部屋ではなかったけれど、モダンでおちつく、いい感じの部屋。ちなみに、東本願寺が見える部屋はスイートらしい。そりゃそうか。
何より、昨日までの木屋町通りの風情ある宿は最高だったけど、鍵のない民宿のような旅館だったので、いろいろ気をつかうところもあったのだけれど、今日は完全な洋風スタイルのホテルなので、誰にも気をつかわずのんびりできる。
檜の香るお洒落な浴場で、気持ちよく身体を伸ばし、こわばった筋肉をゆるめ、部屋に戻ると、からあげクンとスーパードライで、お疲れさま〜と一人乾杯。
いやあ、ほんとに疲れたわあ。
この疲労を乗り越えると、ようやく旅の身体になって、またもう一次元上がっていけるのはわかってるんだけど、とりあえずのんびりしようぜと。
さて、今夜は、オレの京都のもう一つの目的がある。
京都発祥のラーメン〈新福菜館〉へ行くのだ。
オレの好きな小説に出てくる店で、以前、暖簾分けした店が麻布十番にあるってんで、そこでは食べたことあるんだけど、やっぱり京まで上ったら、本店に行かないとイカンでしょう!
ホテルから歩いて数分、着きましたぜ新福菜館。
おお、並んでる!やっぱり人気あるんだな!
でも、昔ながらのチャキチャキしたラーメン屋らしく、回転が速いので、わりとすぐに入れました。
待ってるあいだに食べログでメニューはチェックして決めておいたので、席に着くと、
「並にメンマ入れて。あとヤキメシとビール!」
と、なぜか慣れた口調で常連ぶってみる。
料理を待ってるあいだ、ホールに、働き始めたばっかりっぽい若いおにいちゃんがいて、店の大将みたいなベテランのおにいちゃんに、けっこうキツく指導されながら働いてんの。
客の前でスタッフを叱る店って基本的にはイヤだけど、ここはなんだろう?昔ながらの人情っていうか、厳しさの底にあったかさを感じたのかしら、ちっともイヤな感じはしなくてね。
「ちゃんとビールの銘柄確認したのかよ?」なんてガラわるく叱られてんだけど、おにいちゃんもハイ!って元気にやってる。
だからオレも自然と、心の中で、がんばれよにいちゃん!って気になって、応援しちゃう。
今は、なんでもかんでもハラスメントって名づけちゃったり、ちょっと厳しいとやめちゃうなんて話も聞くけど、いつの時代だって、信頼関係が成立してるかどうか、だよな。
やめたい奴はやめればいいし、やりたい奴はやればいいし、世界はいつだって自由だ。
ハイ、出ました、真っ黒なヤキメシ!
コレがうまいんだわあ。パラパラしてなくてね。どっちかというとベチャってるんだけど、ココはコレがいいの。
麻布十番もパラパラって感じじゃなかった気がするけど、本店はもっとベチョってて、最高にうまいわい!
だってチャーハンじゃないもんね、これはヤキメシなんだから、コレでいいのよ!
なんて、チャーハンとヤキメシの違いもわからないくせに、そんなことを考えながらニコニコしながらかっこんでたら、厨房から
「チャーハンいっちょう!」
なんて威勢のいい声が聞こえてきて。
メニューにはヤキメシってあるのに、店員さんチャーハン言うてるやん笑。
ラーメンのスープも真っ黒でね、だからって濃すぎるわけじゃないの。どっちかっていうとさっぱりしてて、力強さは感じるけど、どっかやさしくて、こんな見た目だけど、京都らしさも感じたりして。
麺は麻布十番よりモチモチしてたかな。太くって、スゲえうまかったよ。
ラーメンにヤキメシにビールなんていけるかな、って不安だったけど、ぺろっと平らげた、瞬殺で。
パパッと食って、慣れた風を装ってさっとお会計して、ごっそさん!なんて言って、チャチャッと出てきたよ。
ラーメンもヤキメシも、そして店の空気も、すべておいしく堪能いたしました。つづく。