コラム/エッセイ

壊れないロールスロイスとお姫さま。

Vanden Plas Princess
Vanden Plas Princess / pyntofmyld
最近は歳のせいか、街を歩いていて珍しい車を見かけても昔ほど気に留めることはなくなったのだけれど、いまだにヴァンデンプラ・プリンセスが走っていると、思わず振り返って目を奪われてしまう。

サイズ感は往年のミニクーパーなのに、フェイスや後ろ姿はロールスロイス。コンパクトなのに優雅で、気品に溢れ、まさにお姫様が乗っていそうな出で立ちだ。

ヴァンプラは英国の貴族など上流階級の人たちがプライベートでいつくしんだ車で、皮革と木材による内装は職人が手作業で丹精をこめてこしらえたものだ。

今でもリッツなどの高級ホテルにおいてはロールスロイスと同じ扱いを受けるそうで、『ベビーロールス』と呼ばれたりもする。ヴァンプラを蔑ろにするホテルマンは一人前だと認められなかったとか……。

とはいえ、排気量は1100cc or 1300cc。とてもショーファードリブン(運転手付き)とは思えないサイズだが、大型高級車の手法をそのまま持ちこんだ顔立ちと雰囲気は、やはり最上級を醸しだしている。

そういえば村上春樹さんがエッセイで書いていたと思うんだけど、昔のロールスロイス社は排気量を一切公式発表していなかったそうだ。電話をかけて聞いてみても答えは「イナフ」とだけ。「お客さまを満足させるのに “じゅうぶんな” 排気量ですよ」といったところか。

他にもロールスロイスには有名な逸話、というか都市伝説がある。

ある大富豪がロールスロイスで大陸を横断する冒険旅行を楽しんでいたときのこと。辺鄙な山奥を走っているときに車が故障してしまったので、無線機でロールスロイス社に修理の依頼をすると、ほどなくしてヘリコプターが飛んできて、あっという間に故障を直して、そのまま飛び去ってしまった。

無事に旅を終えた富豪は、ロールスロイス社に電話をかけて感謝の意を伝えた。

「先日は故障で困っていたところ、迅速な対応で命を救われました。本当にありがとうございました」

ロールスの担当者はこう答えたという。

「何かの間違いではございませんか? ロールスロイスは、絶対に故障しません」

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