息子が踏んでく川辺の街。

過日。長男が一人暮らしをするってんで引っ越しを手伝ってきたのよ。

思ったより荷物が多くて車に乗れなくなっちゃったので、俺と二人の娘たちはバスと電車で。前日のミーティングでワインやらシャンパンやら飲みすぎて二日酔いのクソ重い頭を抱えながら、駅前でひさしぶりに立ち食い蕎麦なんか食って、一時間ちょっと電車に揺られてきましたよ。

都心の学校行くのになんでこんな場所に住むんだよ、と思ってた場所だけど、ちょっと足を伸ばせば二子玉川だったり、川が近いから全体的に解放されて風が気持ちよくて、都会なんだか田舎なんだか中途半端で牧歌的な街の雰囲気が思ったよりわるくなくて、こんなところに一人で暮らしたらのんびりしていいなあなんて思っちゃった。どう考えても茅ヶ崎の方がのんびりしてんだけどな。

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昼前には先日ヤマダ電機でまとめて安く買い叩いた冷蔵庫やら洗濯機やら家電が届いたんだけど、ニトリのベッドやら生活用品がなかなかこないので家人と二人で辺りをさんぽ。知らない街ぶらりって楽しいねえ。北海道とか大自然のなかをオートバイで旅するのも楽しいけど、自分と無縁の学生街をうろつくのも同じくらいワクワクする。案の定、初めて入るラーメン屋で失敗して苦笑い。家系だからっていくらなんでも塩辛すぎだろうよって。

夕方になってニトリが届いたので、ちゃちゃっとベッド組み立ててあっという間に引っ越しは完了。息子はバイトへ。俺たちは茅ヶ崎へゴーホーム。

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夫婦揃ってなんだか感慨深いもんがありましたね。やっぱり家人にしてみれば二十年あまり前に腹を痛めて生んだ初めての子が、学生の一人暮らしとはいえ家を出るわけだから、そりゃあしんみり感じ入るところもあるでしょうよ。長かったなあ。でも短かったなあ。わかんねえや。これからは、バイトで帰りの遅い息子のために夕飯を用意したりしなくてすむけど、こしらえるご飯が一人分減るってのは、寂しいようで嬉しいようで。

俺なんか男親だから、男はとっとと出てって好きなようにやれーいなんていつもは思ってるんだけど、まあなんつうか、いっちゃったな、なんて言ってみたりしてよ。

人って離れるとやさしくなるんだよな。近くにいると面倒くさいけど、遠くにいると心配だ、みたいなさ。俺は幼少期は親戚の家で暮らして、中高は全寮制だったから、親父としても〈離れた場所にいる息子〉っていうのがデフォルトだったんだろうね。一緒にいるときと離れてるときじゃぜんぜん違ったもんな。

一人で暮らして生活の大変さをあれこれ体験して成長しなさいよ、なんつって思ってたけど、いざ一人暮らしが現実になると、こんな俺でも「足りないものはないかな」とか「あいつちゃんとゴミ出しできるのかな」なんて心配しちゃう始末。

自分が一人暮らしをはじめた頃を思うと、あまりにガキで世の中がわかってなくて世間さまに迷惑をかけた自覚があるのでどうしてもね。男子校の寮の流れで生きてたから、窓開けてアンプに繋いだエレキギターを爆音でかき鳴らしてみたり、夜中までバカ騒ぎしてみたり、みんなで朝まで飲みすぎて白熱灯でボヤ騒ぎ起こして消防車が来たり、過剰した自意識をもてあまして大きな声で言えないことあれこれやってたのに、けっこう自由にさせてもらってたんだなと今さらながらに思います。時代も絶対あるけど、いやあ俺ガキだったなあ本当に。

生意気になった息子がガラにもなくありがとうございますなんて頭を下げたりしてね。俺も素っ気ない感じでおうなんてこたえてさ。親にも誰に対してもきちんと挨拶をしなさいありがとうは人として基本だよと育てられて、俺もそういう風に育てたつもりだけど、親にありがとうなんて言わなくていいわ。大事なときにとっとけ。結婚するときくらいだろそんなの。

なんつって。次会ったら、てめえは感謝が足らねえんだよ、なんて言ってウザい親父に逆戻りするかもだけどなーじゃーなー。

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