映画『バケモノの子』感想/君は一人じゃない。宮崎駿にならなくていい。

 

正直個人的には、ちょっと期待外れだったんだけど、それはたぶん僕が細田守監督を大好きだから。

とっても素敵な作品ですよ。

でもね、細田監督には、もっともっと好きなように映画を撮ってほしいな。

宮崎駿にならなくていい

始まってすぐに感じたのは、いかにも「夏の大作アニメ」だなあってこと。

大人も子供も楽しめる娯楽大作であり、早く言えば『千と千尋の神隠し』を狙ってる。実際にオマージュ的なシーンが多々あったし、設定自体がとっても近いです。

でもなんか、無理してるように見える。

『時をかける少女』も『サマーウォーズ』も、すぐそこにある日常とファンタジーが融合してるという点では、本作と同じなんだけど、『おおかみこどもの雨と雪』以降、なんか違うんだよなあ、と個人的には思っちゃってる。

人狼とかバケモノが出てくると、細田守的現実世界にほころびが生じるんですよね。つまりファンタジーとリアルがうまく融合できていない。

その点は、やはり宮崎駿監督に分があるわけだけど、だからといって細田監督が劣っているわけじゃないんです。方向性というか、得意なジャンルが違うだけ。

トトロを例に出すまでもなく、バケモノを出させたらジブリにはかないませんよ。

でも逆に、宮崎監督には絶対『時をかける少女』も『サマーウォーズ』も作れないんだから。

タランティーノ監督が、お金をかけた『パルプ・フィクション』に何でもかんでも詰めこんで、『レザボア・ドッグス』の輝きを失ったのと同じような印象がある。

外野の声なんて無視して、細田監督には、自分の好きなように、好きな作品を撮ってほしいと、外野の一人は思うわけです。

「キミは、一人じゃない」細田監督のやさしいメッセージは健在。

でも、作品のテーマは好きです。

キャッチコピーは「キミとなら、強くなれる。」だけど

僕の頭にすっと浮かんだのは「キミは、一人じゃない」かな。

『サマーウォーズ』以降一貫した細田監督のメッセージ。

本作でも、誰からも好かれる人気者と、ちょっとした誤解とタイミングの違いで孤独になってしまう者との対比が色濃く描かれている。

誰だって、大人だって、子供だって、好きで孤独になるわけじゃない。

学校でいじめられたり、大人になっても、まわりに嫌われないように生きて毎日が息苦しかったり。

それは、本人のせいじゃない

いろんなこと、親の価値観だったり、育ってきた環境だったり、強固な思いこみだったり、そういうものが、いつの間にか、心に棲みついて、闇が広がっていくの。

本作では、「いかなる人間も心に闇を宿している」という前提があるように、誰だって、耐えられない孤独に闇を広げてしまう可能性を秘めているんですね。

僕も今までそういう人をたくさん見てきたし、自分がその「心の闇」に苦しんで生きてきたから、すごくよくわかる。すごく痛かったのを思い出す。

だからこそ、言ってあげたい。

「キミは、一人じゃない。大丈夫だから、こっちを向いて」って。

子どもは絶対喜ぶ、よくできた作品なの。

ごちゃごちゃ書いたけど、お子さんにもとてもいい映画だと思いますよ。僕も子どもたちにぜひ見せたい。

ひとつの娯楽アニメ作品として、子どもたちには大盛況でもって受け入れられるだろうし、大人は「孤独」や「心の闇」について考えるいい機会になるし、つまるところ、よくできてるんです(笑)。

よくできちゃってるから、細田監督の大ファンとしては、次はもっと「好きなように」撮った作品を観たいなあ、なんて思っちゃうんです。

細田監督大好きです。いつもいつもありがとう。

予告編

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