娘たちとアナ雪2、見てきたよ。
なんか、アナ雪って、オレ、スゴくフィットするんだよね。
前作が2013年、もう6年も経ってるのか。でも、あのとき、映画館で娘たちと見たときの感覚、感慨も、けっこうクリアに残ってるもんな。
四十すぎのおっちゃんが、プリンセスの物語に共感するってのも滑稽だけども、内容がビシビシ響くんだ。
アナ雪に限らず、カンフーパンダとか、くもりときどきミートボールとか、教訓じみてる洋物アニメが好きなのよ。
って書くとさ、そういうの、優等生っぽいというか、健全なメッセージが底に這ってる映画が好きっていうの、なんか恥ずかしいっていうか、イヤだったんだけどね。
でも考えてみたら、オレは今、おっさんだけど、子ども時代をやり直してるかもしれないなあ、なんて思ったんだよね。
オレが好きなそういう作品のメッセージって、だいたい、いやすべてか、いわゆる、世の中の常識、良識、現代の当たり前の反対、逆をいくものでね。
子どもの頃、親やまわりの人に教えられたこととは正反対のことを、これでいいんだよ、って言ってる。
大人はこう言うかもしれないけれど、本当はこうしていいんだよ、自分らしく、好きに生きていいんだよ。
っていう、自由と解放みたいなね、こうして言葉にするとうんざりするほど陳腐だし、表現ていうのは常にそういうアンチテーゼを孕んでるんだけども。
若者が、息苦しい世界と折り合いをつけられなくて、他の価値観に触れて、自分を解放したいっていう、あのモラトリアムのさ。
若い頃、パンクロックとかホラー映画とか陰惨な小説とかにハマったのと同じ、違う世界が見たいっていう。
アナ雪って、魔法でみんなに迷惑をかけてしまったエルサが、心配した両親に幽閉されて、自己否定して、苦しんで、でも結果的に、自分を解放したら、ありのままで生きてみたら、みんなしあわせになっちゃった、って話でしょ。
カンフーパンダも、いつも言ってるけど、がんばって人の真似して修行しなくても、自分らしく、自分のいいとこを楽しくやってたら、最強になっちゃった、って話でね。
無粋だから書かないけど、あの龍の巻物がすべてを物語ってるよな。そうだろ?
くもりときどきミートボールも、風変わりな少年だけど、ママに、あんたみたいな個性は必要だから、そのまま大きくなりなさいって言われて、いじめられたり迫害もあったけど、自分らしく生きたって話でさ。
オレたちのまわりにいた愛のある大人はいつも、自分らしく、ではなくて、ちゃんとちゃんと、って言ってたもんね。迷惑かけないように。恥ずかしくないようにしなさいって。
でも、映画やパンクロックは、そのまんまでいいよって言ってくれた。
スターウォーズとかもそうだけど、一見子ども向けの作品で、同じことがたくさん言われてるよね。
自己の解放。 ありのまま。 自分らしく。
うむ。わかっちゃいたけど、言葉にした途端、色褪せる。キモいし、うざったいね笑。
こういうのは、感じることだからね。自分の胸のなかでこそ輝くのかもしれん。
アナ雪2でも、いくつか、ああ、ああって、感じいった言葉やシーンはあったよ。
「その気持ちが本物。心のままに。ためらわないで」
うん、最近コレばっかだけど、ホント、心のままに、が、一番いいところに導いてくれるよ。超能力かよ、ってくらい。
でも、ためらうよな。おっかないよな笑。
「恐れを信じないで」
うーん、シンプルなだけに、響いた。ダークサイドの入口は、いつだって、恐れ。
怖いもんなあ、怖いよ、いろいろ、想像すると。勝手に恐れて、相手攻撃して、ヤバいことになって。過去。未来。他者。
でもそれ、想像だよね?起こってないよね?まあでも、怖いときは怖いよな。
「俺たちならできる」
うむ、理屈じゃないね。フォードだね。できると信じても、できないと信じても、どちらも正しい。ほんまや。
あとね、オラフのシーンだったかな、ああ、愛ってのは、どんなことがあっても、ぎゅっと抱きしめてあげられること、何をしようとも、地球上で自分だけでも、味方でいてあげられること、なんだなあって、いつもなら抵抗がありそうな概念が、すっと、入ってきたよ。
それこそ、無償の愛とか、見返りを求めない愛とか、使い古された言葉で言われてもなんも感じないけど、すっと、心に、沁みいってきた。
じゃあそんな、どんなことがあっても抱きしめてあげられる愛を、自分は持っているのか、あの気持ちは本当の愛じゃないのか、なんて考える必要はなくてね、ただ、ああ、そういうことかと。
できても、できなくても、そういう気持ちもあるんだなあって、ただ、見るって、そういうの、大事だったりしない?
まあいいや、でもさ、こういう、子ども向けアニメの教訓ていうかテーマっていうかメッセージ、そういう話を子どもにしても、いつもポカーンってしてんの。
わかりやすく説明しても、ちっともわかってない笑。
そりゃそうだよな、子どもたちはまだ子どもで、親や数少ない人間に囲まれた半径数メートルの狭い世界に生きてるんだから、これから常識とか枠組みとかに縛られていくわけで、わかりっこない。
だからさ、結局、こういうアニメって、オレみたいなおっさん、大人のために作られてるのかもしれないな。
子どもが観たいというから映画館に行くわけだけど、子どもはよくできたおとぎ話に満足し、大人は子どもをやり直して、刷り込みを刷新すると。
うまくできてまんなあ。そういうもんなんだろうなあ。それくらいエンタメ産業は考えてるよな。余計な話だけども。
うん、目に見えない世界を見せてくれてるんだ。楽しいね。嬉しいね。映画がある世界でよかったな。
こんなんも書いてた。