どこにも心を留めず、見るともなく全体を見る。

Forest
Forest / Moyan_Brenn

 「一枚の葉にとらわれては木は見えん。一本の樹にとらわれては森は見えん。どこにも心を留めず、見るともなく全体を見る。それがどうやら『見る』ということだ」

井上雄彦のコミック『バガボンド』にて、沢庵和尚が武蔵に放った言葉である。

「今この瞬間」を”一枚の葉”に、「今日という日」を”一本の樹”に、「人生」を”森”に例えると、沢庵の言葉はぐっと身近なものになる。

僕らは「今」ばっかり見て、自分にばっかり楽をさせようとするから、今日という日を台無しにしてしまうことがある。そんな今日が積み重なった人生が幸せなはずがない。

いつも心の中で理想の人生のかたちを具体的に思い描いて、今という瞬間の積み重ねが今日となり、今日という日の積み重ねが人生であるということを忘れずにいられれば、僕らは豊かな人生を送ることができるのだろう。

タスクで考えるなら、「今やるべきこと」が”一枚の葉”に、「今日の目標」が”一本の樹”に、「五ヶ年計画」や「最終的な夢」が”森”になる。

Webや書籍などですぐに使えそうで実践的なノウハウを学ぶと、あれもこれもと闇雲に挑戦した挙げ句に、けっきょく遠回りをしてしまったりスケジュールが破綻したりすることがある。「今」にばかり目が向いて、それらをやることによって本来の目標や最終的な夢がどうなるのかまでしっかり熟考できていないからだ。

対して、輝かしい夢や自分の理想の姿ばっかり想像してうっとりしていても、世界は何も変わらない。そんな奴いるのかよ、と思うかもしれないが、若い頃の僕はいつだって「本気を出せばすぐにできる」というおめでたい幻想を抱えたドリーマーだった。

Leaf - IMG_0438
Leaf – IMG_0438 / Nicola since 1972
朝目が覚めた時に、やり残した仕事や解決していない問題を思い出して暗鬱な気持ちになってしまうことがある。自分のミスで多くの人に迷惑をかけてしまったり、逃げ出したくなる瞬間だってあるかもしれない。

どこにも心を留めず、見るともなく全体を見る。

いついかなるときも、そうやって細部から全体に渡ってまでを『見る』ことができれば、心の迷いは消え、手の震えは止まり、霧が晴れるようにやるべきことが見えてくる。

そのために必要なのは、ほんのわずかでも、独りで心静かに落ち着く時間を用意することだ。一日が始まるときと終わるときに、今日という日の大切さと、自分の理想の人生を思い描くことができれば、今日一日のすべての瞬間が、きっとかけがえのない時間となるだろう。

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