家族のために、書斎のドアに鍵を付けることにした。
理由はいくつかある。
まず、僕が仕事に集中するためだ。
午前中は書斎で集中するので、邪魔をされたくない。
でも書斎には、長男のデスクがあり、長女のピアノがあり、次女のオモチャがあるので、休日なんかは出入りが激しい。
用事がなくたって、「パパに会いたくなったー」とか言いながら入ってこられれば、僕だって叱るわけにはいかない。むしろにやにやして娘を膝に乗せる始末だ。
好都合なことにAmazonでトイレ用のドアノブを売っていたので、それにした。
トイレ用だと、ドアの外側に赤い表示が出るので、鍵をかけているのがわかる。
子どもたちはそれを見て「今は入ってはいけないんだ」と理解する。いったん「そういうものだ」と思いこむと、子どもたちはすぐに慣れてしまう。
よっぽどの用事であれば、電話やFaceTimeをかけてくる。しっかり耳栓をしていても、Apple Watchがトントンと手首を叩いてくれる。
二つ目の理由は、高校生の長男のためだ。
日中は僕の書斎だが、夜は彼の勉強部屋であり、プライベートスペースになる。僕はリビングでくつろぐか、すぐに寝てしまうから。
部屋のドアに鍵をかける、というのは、なんだか寂しい気がしていた。家族なんだから、鍵なんていらないじゃないかって思ってた。
でもドアに鍵がついているだけで「今は入ってこないで」とアピールできるのは、けっこう楽ちんだ。
「鍵なんかかけて何してんの?」なんて聞くのは、野暮ってもんだ。
いろんな理由があるだろうし、いろんな理由がないことだってあるだろう。
家族だったら「たまには独りになりたいよな」って黙ってればいい。
家族で暮らしているからこそ、独りの時間って大切だ。今自分は独りなんだって安堵は宝物だ。
だから、家族のためにドアに鍵を付けてみた。