Beach Reading / markcbrennan
茅ヶ崎市立図書館は、教会と緑地公園が並んだ静かな路地裏にある。
そんなに大きくはないけど、緑がいっぱいあって、窓から陽光がたっぷり降りそそぐ、気持ちのいい佇まいだ。晴れた日曜の昼さがり、利用客でざわめく館内を見渡しながら、僕はふとバカなことを思った。
「もしここにある本をすべて読んだら、僕はとてつもなくエラくなっちゃうんじゃないの?」
小脇にアウトドア料理の本と花村萬月の小説と子どもたちの絵本を抱えながら、以前テレビで見て気になっていたマキャベリの「君主論」に手を伸ばして、僕はふたたびはっとした。
「ていうか、よく考えたら、本を読むというのは、とてつもないことなんじゃないか!大昔からの、世界中の頭のいい人たちが考えた思想や、人生をかけた研究の成果、血塗られた歴史からの教訓、死に直面した人の言葉、天才の苦悩、ありとあらゆる英知を、本を読む、というそれだけで、バカな僕だって自分のモノにできてしまうじゃないか!」
どの町にも転がっている人類の叡智(えいち)。
僕はそう思うとワクワクを抑えられなかった。そして自分も含めて、僕らはなんてもったいないことをしているんだろうと思った。
だって僕らが住む日本にはそこらじゅうに書店や図書館があって、あらゆる種類の本が選び放題で読めるというのに、僕もみんなもちっとも本を読もうとしない。
もっとお金がほしい。たくさんの人に認められたい。ピアノが上手くなりたい。知的な友人を増やしたい。海外旅行へ行きたい。子どもにもっと勉強をしてほしい。プログラミングをやってみたい。肩こりがひどい。バルセロナへ行きたい。時間が足りない。隣の芝が青い。
日常で抱くすべての欲望や願望、解決したい問題の答えは、きっとどこかの本の中にある。そしてその本は、すぐ手の届くところにあるというのに。
イタリアの思想家マキャベリは500年以上も前にこう言っている。
私が歴史から学んだことは、人は歴史から何も学ばないということだ。
誰にでも、どこででもできる自分磨き。
Library books / CCAC North Library
勝間和代さんは、年間に500冊もの本を読むのだという。とすると1日1〜2冊は読んでいる計算になる。立花岳志さんも200冊以上と言っていたし、小飼弾さんとか本田直之さんとか、他にも膨大な数の本を日常的に読んでいる人はたくさんいるらしい。
僕は勝間さんについてほとんど知らなかったのだけれど、立花岳志さんが著書「ノマドワーカーという生き方」でこう書かれているのを読んで、一発で惹かれてしまった。
「正しい方法で努力して自分を磨き、なりたい自分になろう」
というのが、勝間さんの著作の明快なメッセージなのだそうだ。なるほどその通りだ、と僕は膝を打った。
一気に有名になったこともあってメディアでは批判や誤解も多い勝間さんだけど、その成功の核にあるのは、こんなにシンプルなことだったのだ。
なりたい自分になるためには、姑息な裏技や近道を考えるのではなく、愚直に努力して自分を価値ある人間に成長させることが大事だと。そしてその第一歩となるのは、僕らの身近にある、いつでも手の届く、本を読む、という誰にでもできることだったのだ。
身近な成功者を見てみるとわかると思うけど、本をたくさん読んだからって成功するとは限らないけど、成功している人は本を読んでいる人が多いよね。
「本を読む時間がないという人は、本を読まないから時間がないのだ」
Reading and relaxing / will ockenden
書店へ行けば、数百年前の哲学から、つい数ヶ月前に広まった最新のライフハックまで、ありとあらゆる英知を手に取ることができる。今は「超訳」みたいな解説本も豊富だから、素人には難解な哲学や物理学だって学ぶことができる。
今や書店に出向く必要さえなくなってきている。書評ブログや読書管理Webサービスを使って書籍を選び、Amazonでワンクリックすれば翌日には自宅のポストに英知が入ってる。電子書籍ならあくびをしている間に手元に届いてしまう。誰にだって、いくらでも学ぶことはできる。
僕は最近、どんなに時間がなくても毎日15分だけは本を読もう、と決めたのだが、いざ読みはじめてみると楽しくて時間を忘れてしまうほどだ。
「本を読む時間がないという人は、本を読まないから時間がないのだ」と言ったのはたしかゲーテだったが、まったくその通りで、本を読まないから読書のありがたみが理解できず、本を読まないから読書時間が捻出できず、本を読まないからいつまでも成長しないのだ。
本が本を呼び、世界がどんどん広がっていく。
最近疲れがとれないので「始めよう。瞑想―15分でできるココロとアタマのストレッチ」という本を読んだら、脳とストレスが密接に繋がっていることがわかって、ストレスによる肩の張りがひどいので「からだとこころの“ストレス”が消える 姿勢力」という本を読んだら、仕事とプライベートのバランスがやっぱり大事らしくて、「「忙しい」が口ぐせのあなたにワーキングマザーが教える自分の時間が増える36の時間管理術」という本を読んでいる。
読書が楽しくなってきたので書評にも力を入れたいなと思っているうちに「伝え方が9割」に出会って、流れでKindle本をてきとうに眺めていたら「藝人春秋」という本を見つけたり、大好きだった「糸井重里の萬流コピー塾」に再会したりもした。
本は本を呼ぶ。
本がもたらした知識が新たな興味を生みだし、次の本を引き寄せ、世界が広がり、また新しい本が目の前に現れる。
その繰り返しが僕らを磨き、なりたい自分になれるかもしれない。でもそれよりも、そうやって世界が広がっていくのを体感するのは、これ以上ない喜びなのだ。
人間は一生、学びつづけるべきです。人間には好奇心、知る喜びがある。肩書きや、出世して大臣になるために学ぶのではないのです。では、なぜ学びつづけるのでしょうか。それが人間の使命だからです。
___MASTERキートン
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