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生きていると、くじけそうになるときがある。一歩外に出れば敵だらけで、自分は孤独で無力で、もう先へは進めないような暗い気持ちになることもある。

僕はそんなとき、「中田英寿 プレー集 -HIDETOSHI NAKATA The Legend-」を見ると、身体の奥底から、燻っていた力が湧き出てくるのを感じる。

ヒデの栄光の時代は、セリエAを制したローマの頃だろう。こうやって厳選したプレー集を見ると、ローマではいつも輝かしい成績を残していたように感じてしまうが、実際はイタリアのプリンス、トッティのリザーバーとして、ベンチを温めることのほうが多かった。

本田圭佑にも言えることだが、ヒデのスタートはいつも下の方からだった。U-17日本代表のとき、ヒデの評価は「下手だけどよく走る選手」というものだったという。

トッティの控えとして試合に出られない日々が続いても、腐らず諦めず、前だけを向いて考え、動き、チャンスに備えた。だからこそ、いざというときに結果を出すことができる。そんな至極当然の世の理を、理屈でなく、その力強いプレーで見せてくれるから、僕はこの動画を見ると、大きな力と勇気をもらう。

(06 : 19)あたりからが見どころだ。センターサークル付近でボールを受けたヒデは、右サイドを駆け上がるカフーを視野に入れると、その先のスペースに大きくサイドチェンジ気味のスルーパスを出す。カフーのセンタリングにそのまま走りこんだヒデが合わせてゴール。たった2本のパスでピッチの半分を切り裂いたこの華麗なゴールは、ヒデにとって一年ぶりのゴールだった。

つづくシーンはローマのセリエA最終戦。後半にトッティと交代したヒデが、試合と優勝を決める鮮烈なミドルシュートを決める。ローマのプリンスとしてやや天狗になっていたトッティだったが、ヒデとの定位置争いによって闘争心に火がつき、イタリアのプリンスになれたとも言われている。

どんな立場にあっても、自分の決めた夢と目標のためにただ邁進する。決して倒れず、ゴールだけを見つめる。僕はいつも、そんなヒデに大いなる力をもらう。

本田圭佑が持っていて、香川真司が持っていないもの。 | CLOCK LIFE



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